2020年05月04日

「Zoom婚活」を享受する35歳男性の納得理由

「Zoom婚活」を享受する35歳男性の納得理由

2020年4月30日 07:40東洋経済オンラインより転載

新型コロナウイルスが蔓延し、世界中が混乱している。日本でも感染者をこれ以上増やさず終息に向かえるようにと、不要不急の外出の禁止、3密の禁止、マスク着用や手洗いの徹底など、あれこれと対策が講じられている。そんな中で、婚活業界にも新たな動きが出てきた。オンラインによるお見合いが盛んになってきている。

仲人として婚活現場に関わる筆者が、毎回1人の婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声と共にお届けしていく連載。今回はオンラインお見合いを始めた男性の話と共に、“変わりつつある婚活業界”について記す。

3密を避けて、お見合いもオンラインへ

新型コロナウイルスは、いつ終息するのか。今はまったく見通しが立っていない状況が続いている。

年が明けてから、コロナのニュースがさかんに報じられるようになったが、当初日本はどこかひとごとだった。SARSのように“そのうち終息するだろう”と楽観視する向きが多かった。婚活業界も1月はこれまでどおり、土日は普通にお見合いが行われていたし、婚活パーティーも開催されていた。

ところが、2月に入り、ダイヤモンド・プリンセスの船内感染が報じられるや、日本国内でも危機感が芽生えてきた。以来、感染者数は、日に日に増えていった。

感染に敏感な会員の中には、「予定されていたお見合いは、コロナが落ち着いてからやりたい」と申し出てくる者も出てきた。また、「しばらく活動はしたくないので休会したい」という会員もいた。予定されていた婚活パーティーも、軒並みキャンセルになっていった。

婚活は、会わなければ始まらない。どの仲人も、「この状況がいつまで続くのだろうか」と重たい気持ちで日々を過ごしていた。しかし、こんな状況を打破するべく、Zoomというアプリを使ったオンライン上のお見合いをする動きが出てきた。

結婚相談所協会もオンラインお見合いを推奨するようになり、仲人たちにZoomの使い方を講習する定例会を開くようになった。

上田正治(仮名、35歳)は、Zoomでお見合いをしている会員の1人だ。正治は、大手IT企業に勤めているので、会社では随分前からZoomによるテレビ会議をしていたようで、使うことには慣れ親しんでいた。

初めてのZoomお見合いを終えた正治が、言った。

「リアルに会うお見合いって、写真とはまったく違う女性が来ることがあるじゃないですか。お見合いをするティーラウンジの入り口で、キョロキョロと探してしまうことがある。Zoomのお見合いは、それがないのがいいですよね」

確かにお見合い写真は、お見合いを組むことの呼び水なので、写真スタジオで完璧なライティングの中、プロのカメラマンが撮ることが多い。写真の修正をする人もいるので、写真とはまったく違う人物が来ることがある。そこは、婚活者なら誰もが周知していることだ。

「オンラインのお見合いは、 “ああ、写真とはずいぶん違うな”って思っても、“まあ、カメラを通すとこんなものかな”と思って、お見合いがスタートできるんですよ(笑)」

男性側の「お茶代」負担がない

Zoomは婚活業界の救世主だと、どの仲人も思い始めている。

結婚相談所では、個人情報を保護する観点から、登録サイトには会員番号が記されているのみで、名前は出ていない。お見合いが成立したときに相手に知らせるのは、苗字のみだ。その後、双方が交際希望を出し交際になって初めて、フルネームが明かされ、連絡先を交換する。

スカイプやLINEビデオは、個人のIDを交換しないとつながらないので、個人情報を保護する観点から、結婚相談所のお見合いには使えなかった。

しかし、Zoomは仲人がホストになり、お見合い開催のミーティング設定をして、URLとパスワードを2人に送れば、個人情報を交換することなく画面を見ながらのお見合いができるのだ。

正治は、こんなことも言った。

「お見合いのお茶代って、男性持ちですよね。自分の彼女にだったら、払うのは一向に構わないのだけれど、対面したときに僕の何が気に食わないのか、不機嫌そうな顔をしている女性がいる。“こんな態度を取っている相手にもお茶をごちそうしないといけないのか。このルール、どうにかならないのかな”と、思うこともあったんですよ」

仲人型の結婚相談所では、男性が女性のお茶代を出すのは暗黙の了解事項だ。たまに割り勘にしてくる男性がいるのだか、そこに女性たちはとても厳しい。

「今日の方、お茶代が割り勘でした」

「お見合いを終えて、『お支払いは?』とお聞きしたら、『1000円でいいですよ』と言われました。コーヒーが1430円だったので、430円だけ出していただきました」

お見合いを終えた女性たちから、こんな報告が入ってくる。“お茶もごちそうできない男は、ケチでセコイ”の烙印が押されるのだ。ただお見合いは、ホテルのラウンジで行うことが多いので、コーヒーが1500円前後と、男性の負担も大きい。

正治ではないのだが、私の男性会員が以前こんな経験をした。

都内の1流ホテルのラウンジでお見合いしたときのこと。入り口付近で待ち合わせをし、ウェイターに席まで案内をされ、着席をした。運ばれてきたメニューを女性がジーッと見ている。彼は自分の飲み物を決めたので、彼女に聞いた。

「決まりましたか?」

すると彼女は言った。

「飲み物は決まったけれど、食べ物がまだ決まっていません」

その女性とのお見合いを終えたとき、彼が私に連絡を入れてきて言った。

「今日の女性には、交際希望を出しません」

そして、この一連の話を私にした。

「セコイかもしれないけれど、僕が、『何か食べませんか?』と誘ったのならいいんですよ。お見合いでは、支払いは男がするというのはわかっていること。お見合いを終えて、『私、食事をしてしまったので、割り勘にしてください』とか、一言あれば、『いえいえ、ごちそうしますよ』となるけれど、お財布を開こうともしなかった。今回の女性は、相手に対しての配慮が足りない気がしました」

彼の気持ちもわかる。お見合いしたホテルのラウンジは、いちばん安いミックスサンドが、2250円するのだ。お茶代と合わせ、消費税を入れて、その日は6000円を超える支払いをしたそうだ。

実際に会ってガッカリすることもある

また、サイトに載せるプロフィールに関して言えば、年齢、出身地、現在住んでいる都道府県、仕事内容、年収(男性のみ)などの情報は、正確なものを入れないといけないが、自己PRや相談室からの推薦文に関しては、お見合い写真同様、かなり盛って記されている場合が多い。

かつて正治がこんなことを言っていたことがある。

「今日の女性は、“笑顔がチャーミングで男性を癒やすタイプ”と、相談室の推薦文にありましたけど、会ってみたら、すご〜く暗い雰囲気で、こちらが何か質問しても、一言答えが返ってくるだけ。まったく会話が弾まなかったので、男性を癒やすどころか、変な汗をかきましたよ。これで1時間話すのは厳しいと思って、40分くらいでお見合いを切り上げてしまいました」

どんな雰囲気を持っている人か、会話の波長が合うかどうかは、オンラインで話せばだいたいがわかる。プロフィールを熟読して会話の展開を考え、お見合い場所に出向いたものの、想像していた人とはまったく違う人が来たとなると、そのときの脱力感は大きい。しかし、こうしたプロフィールとのズレも、交通費もお茶代もかからないオンラインお見合いなら、腹も立たないだろう。

また、オンラインお見合いに抵抗がある要素の1つとして、背景が映り込んでしまい、どんな部屋に住んでいるのかわかってしまうのが嫌だという人もいるだろう。狭いワンルームで、ベッドが見えてしまったり、部屋が散らかっているのがわかってしまったりすることに抵抗がある人もいる。

ところがZoomは、背景を自分の好きな写真画像に変えられる。スマホやパソコンに保存してある画像を呼び出し、それを背景にすることができるのだ。

正治が4月の初めにZoomでお見合いをしたとき、女性の背景が、満開の桜の画像だった。

「きれいな背景ですね」と正治が言うと、彼女はこう答えた。

「今年は、お花見も自粛だから、せめて今日は満開の桜の中に、自分を入れてみました」

そこから、毎年春になると、どこでお花見をするかという話になったという。

「私は、目黒川沿いのお花見に毎年会社の同僚と行くんですよ。ピンク色のスパークリングワインを飲むのが楽しみです」

「あ、僕も、それ飲んだことありますよ。ワインの中に生の苺が入っているものもありますよね」

そこからは、お花見の話でひとしきり、盛り上がったそうだ。

どんな状況下でも、前向きになれる人が強い

今回のコロナウイルス騒動は、その人がどういう人間なのか、本質を知るリトマス試験紙になっている気がしてならない。

正治のように、いち早くZoomを使ってお見合いし、その後もオンラインでコミュニケーションを取っている人たちもいる。仲人の中には、Zoomによる婚活パーティを主催する人も出てきた。この状況下でできることを探し、それを楽しく活用しているのだ。

そうかと思えば、「休会します」という連絡をよこして以来、こちらが業務連絡を入れても、一切返信をしてこなくなった会員もいる。

私が、「お相手相談室から、『オンラインのお見合いは、いかがですか?』ときていますが、どうしますか?」と連絡を入れたところ、「緊急事態宣言が明けるまではお見合いはしないって、言いましたよね!」という強い口調のLINEを返してきた会員もいる。

今テレビやネットは、コロナのニュース一色だ。感染者と死亡者の数が連日報道されている。終わりの見えない戦いに、人々のイライラも募ってきている。

そんな状況下で、ストレスをためずにどう生活していくのか。どう婚活をしていくか。

前向きに暮らし、この状況下でやれることを見つけ、愚痴を言わずに笑っていられる人こそ、将来のパートナーにふさわしいのではないか。

Zoomお見合いから交際をスタートさせている正治やそのほかの会員たちが、リアルで会えるようになり、その後結婚へと進めたら、その道のりの記録は、またここにつづりたいと思う。

(鎌田 れい : 仲人・ライター)

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